日本でも予防的乳房切除術および予防的卵巣切除術
がん研有明病院が予防的乳房切除術および
予防的卵巣切除術について次のことを発表しました。
http://www.jfcr.or.jp/hospital/information/general/2753.html
がん研有明病院におけるBRCA1/2遺伝子変異保有者の方への予防的切除の現状と方針
2013年05月20日
当院において、BRCA1/2遺伝子変異を有する方の予防的乳房切除術および予防的卵巣切除術について現状をご説明いたします。
1.予防的卵巣卵管切除術(リスク低減卵巣卵管切除術)に関しては、当院では長期予後、手術の安全性を主な評価項目とする臨床試験として実施するという方針により、2011年2月にIRBにより承認を受けて、2011年9月より現在に至るまで10例程度を実施しており、いずれも経過は良好です。(臨床試験名:「BRCA1/2遺伝子変異に基づく予防的両側卵巣卵管切除術の実施におけるfeasibility等諸問題に関する検討」)
2.予防的乳房切除術(リスク低減乳房切除術)についても、同様の主旨に基づき、当院では臨床試験として実施することが病院運営会議において決定しています。しかし、この臨床試験は院内のいくつかの委員会で承認を受けた後に、最終的にがん研究会の倫理審査委員会で承認を受けて実施することになります。本術式を実施するに当たり上記のプロセスを経る必要がありますので、すぐに本術式の実施が可能になるわけではないことをご了解いただきたく存じます。
また、現在、当院では本術式を希望している方はいない状況ですが、予防的手術が実施できる体制は整備しておきたいと考えております。
予防的手術に要する費用も、研究計画書を提出する上での1つの試算であり、乳頭を温存するか、再建をどうするかなどで当然費用は異なります。
現状は上記のごとくであり、予防的切除はBRCA1/2変異保有者の対策の選択肢の1つとして、遺伝カウンセリングの中で十分な情報提供を受け、その意義や問題点などを十分に理解していただいた上で、ご本人の意思を尊重して実施するものであることをご了解いただきたく存じます。
また、これらの治療を受けられた方のプライバシーを秘守するなど十分な配慮をしたいと考えております。
予防的乳房切除術に関してまた実施が可能な状況になりましたら、改めてホームページ等でお知らせする予定です。
がん研究会有明病院
病院長 門田 守人
乳腺センター長 岩瀬 拓士
遺伝子診療部長 新井 正美
このことは、日本経済新聞にも書かれていました。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0404R_U3A600C1CR8000/
がん研有明病院、卵巣がん予防的摘出手術を高度先進医療に申請
2013/6/4 21:29
がん研有明病院(東京)は6月4日、卵巣がんを予防するために卵巣などを摘出する手術について、7月にも厚生労働省の高度先進医療に申請することを明らかにした。がんのリスクを大幅に高める遺伝子変異を持つ人が対象。安全性や効果などの実績を積み上げ、将来は保険適用を目指す。申請が認められれば、患者が全額自己負担している70万~90万円の高額な医療費の負担が軽くなる。
米人気女優のアンジェリーナ・ジョリーさん(38)が検査したことでも話題になった遺伝子「BRCA1」と「BRCA2」は、特定の変異があると卵巣がんや乳がんになるリスクを大幅に高める。70歳までに卵巣がんになる確率は11~62%で、乳がんは45~84%とされる。今回の手術も2つの遺伝子に変異がある人が対象。
卵巣がんの発症リスクは、乳がんに比べると相対的に低いが、検査で早期に見つけるのが難しく約半数が進行が早いタイプ。がんになる前に卵巣や卵管、子宮を切除することで、より高い予防効果が期待できるとみている。これまで同病院は臨床試験で6人の患者に予防的な手術を実施。いずれも大きな合併症などは起きていないという。
海外では遺伝子変異を持つ人の大規模な追跡調査が実施されている。1974~2008年に遺伝子変異がある女性2482人を6年間追跡したところ、予防手術をした939人では1%(10人)が卵巣がんを発症。一方、手術をしなかった1678人は6%(98人)が発症。卵巣がんで亡くなる確率は予防的手術をすると、3%から0.4%に下がった。
アメリカの女優アンジェリーナ・ジョリーさんが手術を受けたのは、記憶に新しい。
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